進学・進級とともに子供の教育費負担はどんどん増し、時には家計を圧迫するほどの支出になるケースもあります。また、突然子供が私立を受験したいと言い出したり親が体調を崩して思うように働けなくなったりして用意していた学費が不足してしまうケースもあり、学費が払えず無理をしている家庭は多いようです。

学費が不足するとすぐに奨学金や教育ローンを検討する人もいますがこれは間違いです。奨学金は卒業後の子供に借金を背負わせることになりますし、教育ローンは返済負担が大きく老後資金の貯蓄に影響を与えるかもしれません。まずは日々の節約や学費の分納・延納、公的制度の利用で対応できないか検討することをおすすめします。

こちらのページでは、教育費が不足した場合の対処法や公的制度についてまとめましたのでぜひ参考にしてください。

子供の教育費はどれくらい準備すればいい?

子供の教育資金を貯めようと考えている家庭は多いですが、明確な目標金額を決めている人は少ないようです。まずは教育費をどれくらい準備すれば良いのか把握しましょう。

学費はどんどん高騰している

子供のためとはいえ学費の支払いを負担に感じる家庭は増えています。それは、年々大学の学費が高騰しているのにサラリーマンの平均給与は上がっているとは言えずむしろ下がっている傾向にあるためです。

学費不足01

高校までは授業料助成が充実していてさまざまな補助を受けられますが大学に入ると助成制度が少なくなり自己負担分が増すことが多いため、進学を考えている家庭は特に大学の学費準備に重点を置く必要があります

子供の教育費はこれだけかかる

文部科学省が行った平成30年度子供の学習費調査によると、小学校から高校までに保護者が支出した一年間の学習総額費は次の通りです。

学費払えない01

学習総額費には学費だけでなく学用品・通学交通費・塾などの習い事支出も含まれていますので個々の状況によって変動はありますが、公立でもかなりの額が必要です。

医歯薬学系の学部を除く大学の学費は次の通りです。

学費払えない02

<国立大学は文部科学省令による標準額、私立大学は文部科学省「私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について」(2016年)より>

教育費は進学先や学部によって大きく上下するため、準備していても不足してしまうケースもあります。大学まですべて国公立を予定していても私立大学に進学する可能性もありますし、自宅から通えない大学を選ぶ可能性などさまざまなケースを想定して備えることが大切です。

とはいえ、すべて私立に通えるだけの金額を貯めなくてはいけないわけではありません。地域にもよりますが在学者数の割合がもっとも多い標準的な進学先で考えると、必要な教育費は次のようになります。

学費払えない03

公立小学校は98%以上、公立中学校は92%以上の子供が選択しますので、必要となる学費を左右するのは高校以降の進路だと言えます。

学費を準備するために今すぐ実践したい4つの方法

数百万円を短期間で準備するのは容易ではありません。学費を準備するために子供が小さいうちからできる方法や、今すぐに実践できる方法をご紹介します。

早めに教育プランを立てて積み立てる

一番おすすめする方法は子供が小さいうちから少しずつ教育費を貯蓄する方法です。人生における二大出費とも言われる教育費と住宅費は負担の大きい時期が重なりますので、少しずつ教育費を積み立てることが大切です。

たとえば、小中学校は公立でと考えている家庭であれば月々2万円弱・年間約22万円の積み立てを続けると、大学に入学するまでの18年間で約400万円貯蓄可能です。

返戻率が100%を超える学資保険の利用がおすすめ

毎月少しずつ学費を貯めるためには、貯蓄性の高い学資保険の利用がおすすめです。

学資保険に加入すると毎月決まった保険料を長期間にわたって支払い、まとまった額が必要になる入学などのタイミングで学資金の受け取りができます。

毎月自分で貯蓄すればいいと考えるかもしれませんが、学資保険にしかないメリットがあります。

学資保険のメリット

  • 契約者が死亡または特定の病気にかかった場合、以後の保険料が免除される
  • 定期預金よりも貯蓄性が高い
  • 強制的に貯蓄できる

一番のメリットは保険加入期間中に世帯主など契約者の身に何か起こった場合、以後の保険料支払いが免除されるうえに、子供は予定通りの時期に学資金の受け取りができる点です。自身で貯蓄をするケースでは積み立てが止まったら学資金もそれ以上増えませんが、学資保険に加入すれば親に万が一のことがあっても子供が大学進学を諦めなくてはいけない可能性が低くなります。

また、貯蓄性の高い商品を選ぶと返戻率が100%を超えますので支払う保険料総額よりも多くの満期学資金の受け取りが可能です。中には返戻率105%以上の学資保険もあり、定期預金よりもお得に貯めることができます。

学費不足02

子供の医療費も保障する保障型学資保険もありますが、これらは返戻率が下がってしまいますので貯蓄目的であれば医療特約のついていない学資保険を選びましょう。

また、学資保険にこだわらず終身生命保険の利用も効果的です。子供の大学入学より前に払い込みを終えて満期を迎えるよう終身生命保険に加入し、返戻率が一番高いタイミングで解約すれば学資金として利用できます。

家計を見直してコツコツ貯める

多くの学資保険は子供が6歳になる頃までに加入する必要があります。加入できる期間が過ぎている場合はコツコツと貯蓄しましょう。

高校・大学に通う期間に多額の教育費がかかりますので、小・中学生の間にできる限り貯蓄することが大切です。月々1万円の貯蓄でも9年間続ければ100万円を超えますし、学資保険と異なり余裕のある月は貯蓄額の増額も可能です。

貯蓄をする余裕がない家庭でも次の点を見直すだけで積み立てできるかもしれません。

  • 保険の見直し、ネット保険への切り替え
  • 格安スマホの利用、スマホの料金プランの見直し
  • 習い事支出の見直し

店舗型保険をネット保険に切り替えると、同じ保障内容でも月々数千円~1万円程度節約できる可能性があります。

また、小学生に特に多いのが習い事の支出です。週に3つも4つも習い事をしている子供も多いですが、本当に必要な習い事だけに絞り込むと年間10万円以上貯蓄に回すことも可能ですので検討してみてください。

児童手当を貯めておく

中学生以下の子供がいる家庭には児童手当が支給されます。児童手当を全額教育資金として貯蓄しておくと国公立大学の学費をほぼカバーすることも可能です。

児童手当の支給額は次の通りです。

児童の年齢児童手当の額(一人あたり月額)
3歳未満一律15,000円
3歳以上小学校修了前

10,000円

(第3子以降は15,000円)

中学生一律10,000円

※児童を養育している方の所得が所得制限限度額以上の場合は、特例給付として月額一律5,000円を支給(扶養親族の人数が3人の場合、所得制限限度額736万円、収入額目安960万円以上の場合)

児童手当で貯蓄できる額
  • 第1子・第2子が中学校卒業するまで…約187万円~198万円(生まれ月による)
  • 第3子以降…約235万円~約252万円(生まれ月による)

専業主婦はパート収入を得る

支出を抑えるとともに収入を増やせるとより貯蓄しやすくなります。

子供が小さいうちは働きづらく専業主婦だった方でも、子供が小学校高学年になると下校時刻が15時を過ぎる日が増えるためパートに出やすくなります。

たとえば、次の条件でパートに出ると小学校4年生から中学校卒業までの6年間で約380万円も貯蓄できます。

時給1,100円×1日4時間×週3日勤務×1か月=1か月あたり52,800円

52,800円/月×6年間=約380万円

1日4時間を週3日ならばご自身の趣味や子供の習い事の送迎などがあっても無理なく続けられると思いますので、ぜひ検討してください。

大学の学費が不足した時の4つの対処法

家計の節約など工夫したけれど学費を払えそうもない、急な家計急変で進学できないかもしれないなどさまざまな事情により大学に通うお金が不足しても進学を諦める必要はありません。大学の学費を払えない時の対処法をご紹介します。

学校に延納・分納を相談する

大学の学費は通常半期ごとに納付します。大学や学部によって異なりますが施設使用料と合わせて半年に一度50万円前後納付する必要があります。

まとまった額を用意できない時は大学に延納や分納の希望を申し出ましょう。多くの大学が一括納入だけでなく分割納入にも対応していますので、月々の納付に変更してもらえる可能性があります。また、一時的に支払えない理由がある方は納付日を延ばしてもらえる可能性もありますので、事情を説明して相談しましょう。

黙って滞納するのではなく、できる限り早く相談することが大切です。

奨学金を借りる

近年では学生の2人に1人は奨学金を利用していると言われています。奨学金を利用すると経済的事情を理由に大学進学を諦める必要がなくなりますので、どうしても家計が厳しい時には検討してみましょう。

奨学金制度とは

奨学金は学生本人に返済義務があり、種類によって無利子と有利子に分かれます。在学中は返済の義務がなく卒業してから返済が始まる点が大きな特徴です。

返済の必要がない給付型奨学金と、返済が必要な貸与型奨学金がありますので申し込み条件を確認して申し込みましょう。

多くの学生が利用する日本学生支援機構の奨学金制度についてまとめました。

※大学生・予約採用の場合

給付型貸与型
第一種第二種
返済不要
利息無利息

卒業後から発生

上限3%(0.01%~0.27%程度)

学力基準

(一年次の場合)

※いずれかを満たす

・学ぶ意欲がある学生(成績・レポート)

・高等学校等における評定平均値が3.5以上、又は、入学者選抜試験の成績が入学者の上位2分の1の範囲に属する

・高等学校等の1年から申込時までの成績の平均値が3.5以上

・生計維持者の住民税(所得割)が非課税であって学校長の推薦を得られる人

・高等学校等における学業成績が平均水準以上と認められる

・特定の分野において特に優れた資質能力を有すると認められる

・大学における学修に意欲があり、学業を確実に修了できる見込みがあると認められる

所得制限の目安住民税非課税世帯及びそれに準ずる世帯4人世帯の場合給与所得747万円以下4人世帯の場合給与所得1,100万円以下

給付・貸与月額

・自宅通学

国公立 最大29,200円

私立 最大38,300円

・自宅外通学

国公立 最大66,700円

私立 最大75,800円

世帯所得金額に応じて支給

・自宅通学

国公立 最大45,000円

私立 最大54,000円

・自宅外通学

国公立 最大51,000円

私立 最大64,000円

世帯所得金額に応じて支給

最大120,000円

※私立大学の医・歯学は40,000円、私立大学の薬・獣医学は20,000円増額可能

申請時期4月~5月

2

・高校3年の5月中旬~7月中旬頃

・高校3年の10月下旬~11月下旬頃

※在学校により異なる

支給開始時期大学入学後の4月~6月頃
審査有無申し込み基準を満たしていても募集枠に限りがあるため、利用できない場合も多い基準を満たしていれば概ね利用可能

給付型、貸与型ともに審査基準に保護者の収入や子供の学力が含まれるため、利用を検討している方は基準を満たしているかよく確認する必要があります。

奨学金には予約採用と在学採用があります。高校在学中に申し込むのが予約採用、大学に入学してから申し込むのが在学採用です。高校在学中の予約採用は通っている高校経由で、高卒認定試験合格者と大学進学後の在学採用は大学を通じて日本学生支援機構に申し込みましょう。

給付型奨学金について

給付型奨学金は、経済的な余裕がない家庭の子供に対して進学を支援する制度です。

給付型奨学金の特徴

  • 返済する必要がない
  • 住民税非課税世帯など経済的に余裕がない家庭向けの支援制度である
  • 子供の学業成績や生活態度をもとに厳しく審査される
  • 2020年4月から新制度がスタートし、授業料の免除・減額と給付型奨学金の支給が受けられる

対象となるのは住民税非課税世帯およびそれに準ずる世帯の学生で、世帯年収の目安は次の通りです。

支援対象者

年収の目安

支援額
両親・本人(18歳)・中学生の家族4人世帯の場合両親・本人(1922歳)・高校生の家族4人世帯の場合
住民税非課税世帯の学生~270万円~300万円満額
住民税非課税世帯に準ずる世帯の学生~300万円~400万円満額の2/3
~380万円~460万円満額の1/3

世帯年収の目安は家族構成や年齢によって異なります。日本学生支援機構の進学資金シミュレーターで支援対象かの確認ができますのでぜひ活用してください。

2020年4月から新制度がスタートし、給付型奨学金の対象者は最大で70万円の授業料免除・減額を受けることができるようになりました。

子供の学業成績や生活態度が厳しく審査されるなど支給人数が制限されていますので条件を満たせばだれでも利用できるわけではありませんが、条件に当てはまる家庭は積極的に応募しましょう。

貸与型奨学金について
貸与型奨学金は返済する必要のある奨学金で第一種と第二種に分かれています。どちらも卒業後に返済が始まる制度で第一種と第二種は併用も可能です。
無利息で借りられる第一種奨学金ですが、住民税非課税世帯を除き申込者の成績にやや厳しい条件があります

第一種奨学金の特徴

  • 無利息で借りられる
  • 高等学校等の1年から申込時までの成績の平均値3.5以上の学生が対象
  • 住民税非課税世帯の学生は学習成績の条件はない

第二種は利息がつく奨学金ですが、近年の金利推移は0.01%~0.27%ですので民間のローンと比較するとかなりの低利子です。在学中は利息がつきません。

第二種も一定の所得を超える家庭は利用できませんが、学業成績については基準が大きく緩和され平均水準以上という目安はあるものの特定の得意分野がある学生や学習意欲が高い学生も申込可能です。

第二種奨学金の特徴

  • 年3.0%を上限とした利息つきで借りる
  • 在学中は利息がつかない
  • 審査基準は第一種よりも緩和される
奨学金の緊急採用・応急採用は通年で申し込み可

奨学金の申請は通常年に二回決められた時期に行いますが、通年で緊急採用・応急採用の申請も受け付けています。

緊急採用・応急採用は、震災・火災などの災害発生時や失職・病気など家計が急変し修学に要する費用が不足した時に申請できる奨学金です。申請は一年中可能ですが、申し込みできるのは家計急変の事由発生日から12か月と決められていますので注意しましょう。

奨学金は利用する前に子供とよく話し合いを
学費不足03

経済的に厳しくても進学が可能になり多くの家庭の救いとなってきた奨学金制度ですが、利用している学生が多いからと安易に利用するのはやめましょう。

奨学金を利用すると返済義務を背負うのは子供自身です。奨学金と聞くと安心しがちですが、借金であることには変わりありません。大学を卒業すると返済義務が生じますが、余裕をもって返済できる就職先が見つかるとは限りません。年収が一定以下の場合返済を猶予してもらうこともできますが、返済を先延ばしするだけです。

学生本人や家族が良いと思っていても結婚相手やその家族が借金に難色を示すかもしれませんし、自分の教育費を精算してからでないと次世代への教育費もかけられず産む余裕すらない事態にもなりかねません。

将来就きたい職業によっては大学進学が必須かもしれません。また、大卒資格を得ることで生涯賃金がアップする可能性も高いため、返済負担よりも奨学金を借りて進学するメリットの方が大きいと言えるケースもあるでしょう。

奨学金の利用にあたっては、親子でよく話し合い慎重に検討してください。

国の教育ローンを利用する

進学費用が不足する場合、日本政策金融公庫の国の教育ローンを利用して借りる方法もあります。

対象者大学、大学院、短大、高校、高専、専門学校、各種学校、予備校、デザイン学校など
所得制限

子供1人 世帯年収790万円(所得590万円)

子供2人 世帯年収890万円(所得680万円)

子供3人 世帯年収990万円(所得770万円)

※条件を満たせば世帯年収990万円まで

学業条件なし
返済の必要あり(固定金利年1.70%)
支援金額350万円 ※条件により450万円まで可
申請時期一年中
支給開始時期申し込みの2~3か月後
申込方法日本政策金融公庫へ直接申し込み
使用用途入学金、授業料、受験費用、定期券代、在学のためのアパート代、パソコン購入費など(保護者口座に振込)
国の教育ローンとは

国の教育ローンには次のような特徴があります。

国の教育ローンの特徴

  • 収入が一定以下の世帯に、低利子で学費を貸し付けるローン
  • 親がローンを組み返済する
  • 在学中も利息がつき、借入した翌月から返済が必要
  • 一括で学費の借入が可能
  • 日本学生支援機構の奨学金との併用もできる
  • 一年中いつでも申込できる

奨学金と同様に経済的な理由で進学を諦めなくてはいけない家庭に対し、低金利で学費を貸し付ける住宅金融公庫の制度です。固定金利1.70%ですので民間の教育ローンやカードローンよりもかなり低金利で借りることができます。

国の教育ローンは親が借り入れしますので返済義務を負うのも親です。そのため、保護者の信用情報に事故情報など問題がある時は審査落ちしてしまう可能性が高くなってしまいます

国の教育ローンの利用をおすすめする人

国の教育ローンの利用をおすすめする人は次の通りです。

  • 奨学金の申し込み時期を過ぎて借り入れしたい人
  • 奨学金だけでは学費が不足してしまう人
  • 所得制限により奨学金を利用できない人
  • 親名義でローンを組みたい人

奨学金の申し込み時期は通常年二回ですが、国の教育ローンは一年中いつでも申込できます。また、日本学生支援機構の奨学金と併用できるため、奨学金だけでは学費分に足りない家庭は検討してみましょう。

国の教育ローンの利用にも所得制限がありますが、奨学金よりも基準が緩和されます。条件を満たせば子供の人数が1人でも世帯年収990万円まで上限額が緩和されます。詳しくは日本政策金融公庫の案内をご参照ください。

奨学金と教育ローンの違い
貸与型の奨学金と国の教育ローンの違いをまとめました。
奨学金国の教育ローン
借主(返済する人)学生本人
借り方毎月定額一括
利息

第一種;無利息

第二種;上限3%(0.01%~0.27%程度)

1.70%固定
利息の発生時期卒業後借入の翌日
返済開始時期卒業後借入の1か月後
申込先在学中の学校日本政策金融公庫
申込可能時期年に2一年中可能

大きな違いは借主が親か学生本人かです。親が返済する教育ローンは子供の在学中から返済が始まりますが、学生本人が返済する奨学金は卒業して多くの人が就職してから返済します。

民間の教育ローンやカードローンと比較すると超低金利だと言える奨学金と国の教育ローンですが、実際に支払う利息をシミュレーションすると次のようになります。

学費払えない04

1.5%弱の利率の差でも支払利息には20万円以上の差が出ることがわかります。

より高額・長期間で返還しようとするとさらに差が開きますので、返済負担軽減を第一に考えるならば奨学金への応募を優先したほうが良いでしょう。

生活福祉資金貸付制度を利用する(低所得者世帯向け)

生活福祉資金貸付制度の教育支援資金は、低所得者世帯向けに無利子で学費を貸し付ける制度です。

対象者高等学校、大学、高等専門学校
所得制限住民税非課税世帯
学業条件なし
返済の必要あり(無利子)
支援金額

(高校)月3.5万円以内

(高専)月6万円以内

(短大)月6万円以内

(大学)月6.5万円以内

※特に必要と認める場合は、上記各限度額の1.5倍まで

申請時期一年中
支給開始時期申し込みの約1か月後
申込方法市区町村社会福祉協議会へ申し込み
使用用途

就学するのに必要な経費(保護者口座に振込)

※借入れた資金で支払いした内容を証明する書類を提出

生活福祉資金は世帯の独立を目的とした厚労省管轄の制度で、自治体の社会福祉協議会が窓口となっています。対象は住民税非課税世帯で、高校や大学に入学・修学したりするために必要な経費を借りることができます。

いつでも申込可能で在学中は返済する必要はなく、大学生は最大で月6.5万円まで借りることができます。日本学生支援機構の給付型奨学金や無利子の第一種奨学金を利用できる場合はそちらを優先して利用しなくてはいけませんが、奨学金だけでは足りないケースでは併用も可能です。

条件を満たしていても審査に通らないケースもありますが、利用条件に当てはまる方は検討してみましょう。

高校の学費が不足した時に利用できる制度

国の教育ローン・生活福祉資金貸付制度は高校の学費にも利用可能ですが、日本学生支援機構の奨学金は利用できません。

高校生の学費不足に特化した制度もありますのでご紹介します。

高等学校等就学支援金制度

全国の約8割の生徒が利用している授業料支援制度です。

対象者高等学校、特別支援学校(高等部)、高等専門学校(13年生)など
所得制限

住民税所得割額50万7000円未満の世帯 

※4人家族で年収910万円未満

学業条件なし
返済の必要なし
支援金額

公立:年間118,800

私立:年間396,000円まで ※所得による

申請時期入学時の4
支給開始時期
申込方法学校へ申し込み
使用用途授業料(学校設置者が受け取る)

年収目安910万円未満の世帯が対象で、公立学校に通っている場合は年間11万8,800円支給されるため授業料負担が実質0円になります

また、20204月より制度が改正され私立学校に通っている場合は所得に応じて396,000円まで支給されることになりました。

学費不足05

高等学校等就学支援金制度は、在籍している学校から入学時に案内があります。その際、地方住民税情報による所得確認が必要ですので、必ず事前に地方住民税の申告を済ませておきましょう。

就学支援金は生徒や保護者が受け取るのではなく都道府県や学校法人が受け取り授業料に充てますので、授業料以外の用途には使用できません

条件を満たしていれば利用できる制度ですので、忘れずに申し込みしましょう。

高校生等奨学給付金(低所得者世帯向け)

高校生等奨学給付金は生活保護世帯・住民税非課税世帯に授業料以外の教育費を支給する制度です。

対象者高等学校等(高等学校、中等教育学校(後期課程)、高等専門学校(1~3学年)、専修学校(高等課程)等)
所得制限生活保護受給世帯、非課税世帯
学業条件なし
返済の必要なし
支援金額年間32,300円~138,000
申請時期原則入学時の4月 ※都道府県により異なる
支給開始時期12月末日
申込方法学校または都道府県へ申し込み
使用用途

授業料以外の教育費※(保護者の口座へ振込)

※教科書費、教材費、学用品費、通学用品費、教科外活動費、生徒会費、PTA会費、入学学用品費、修学旅行費等

高校生等奨学給付金は、原則保護者が受け取りますので学用品などの購入に充てられますが、保護者に代わって学校が受け取り学校徴収金に充てるケースもあります。

世帯状況給付額(年額)
国公立私立
生活保護受給世帯【全日制等・通信制】32,300円52,600円
非課税世帯【全日制等】第1子82,700円98,500円

非課税世帯【全日制等】第2子以降

※15歳以上23歳未満の兄弟姉妹がいる場合

129,700円138,000円
非課税世帯【通信制】36,500円38,100円

給付制度なので返済する必要はありませんが、審査が厳しく条件を満たしていても利用できない可能性もあります

私立高等学校等授業料軽減助成金事業

私立高校に通う収入が一定以下の世帯に対し、授業料を軽減する制度です。私立高等学校等授業料軽減助成金事業は東京都の制度ですが、同様の制度が全国各地で実施されています。

対象者私立高等学校(全日制課程、定時制課程、都認可通信制課程)、私立中等教育学校後期課程、私立特別支援学校の高等部、私立高等専門学校(1~3年)、私立専修学校高等課程(1年6カ月制の場合は令和元年10月入学者及び令和2年4月入学者の保護者)
所得制限年収目安910万円未満の世帯
学業条件なし
返済の必要なし
支援金額

59,400円~342,200円 

※就学支援金との合計額が46万1千円の範囲内

申請時期6~7月頃 ※私立通信制高等学校は10
支給開始時期12月下旬
申込方法東京都私学財団へ申し込み
使用用途授業料(保護者口座へ振込)

最大で34万2,200円支給されますが、国の就学支援金を利用したうえで保護者が実際に負担する授業料が上限です。

申請が認められると軽減分の授業料が保護者の口座に返金されますが、振り込まれるのは12月下旬ですのでいったんは保護者で立て替える必要があります。

申請は年度ごとに必要で期間も決められていますので忘れずに申請しましょう。

育英資金貸付事業

育英資金貸付事業は、学習意欲がありながら経済的に修学が困難な家庭に対して無利子で奨学金を貸し付ける東京都の事業です。全国各地で同様の事業が行われています。

対象者高等学校、高等専門学校、専修学校(高等課程、専門課程)
所得制限あり ※審査基準は非公開
学業条件勉学意欲があり在学校の推薦を得られる
返済の必要あり(無利子)
支援金額

・高等学校、専修学校(高等課程) 国公立:18,000円 私立:35,000

・高等専門学校 国公立:18,000円  私立:35,000

・専修学校(専門課程) 国公立:45,000円  私立:53,000

申請時期4月中旬~5月中旬 ※学校により異なる
支給開始時期8月中旬
申込方法学校へ申し込み
使用用途学費(本人口座へ振込)

無利子で借りられ返済開始は卒業後ですが、卒業後に大学に進学した場合は申請すれば返済開始の延期も可能です。

所得の条件は明記されておらず、審査では収入の低い家庭から採用されますので申し込んでも審査に通らない可能性があります。他の貸与型奨学金との併用はできませんが、給付型奨学金や国の教育ローンとは併用可能です。

申請時期が決められていますが、保護者の病気や災害などの理由で家計が急変した場合は一年中申請できます。また、中学3年生は予約申し込みも可能ですので在学する中学校を通じて申し込みましょう。

ただし、育英資金貸付事業は給付ではなく貸付ですので、他の給付型事業の利用ができないかよく検討してください。

受験生チャレンジ支援貸付事業(東京都)

受験生チャレンジ支援貸付事業は進学を目指す子供をもつ収入が一定以下の世帯に対して、高校や大学進学のための学習塾・通信講座などにかかる費用や受験料を貸し付ける東京都独自の事業です。

対象者中学3年生・高校3年生又はこれに準じる進学を目指す人
所得制限

世帯(父母等養育者)の総収入又は合計所得金額が一定の基準以下であること

※年収目安4人世帯で386万4,000円未満

学業条件なし
返済の必要あり ※ただし、高校・大学等に進学した場合返済が免除される
支援金額

・学習塾等受講料貸付金 200,000

・高校受験料貸付金 27,400

・大学受験料貸付金 80,000

申請時期4月~2月中旬 ※区市町村によって異なる
支給開始時期申し込みの約1か月半後
申込方法区市町村窓口へ申し込み
使用用途

対象となる学習塾等の費用、高等学校・大学等の受験料(申込者の口座に振込)

※領収書の提出が必要

用途が決められていますので、貸付金が振り込まれたら資金使途確認のために領収書を提出する必要があります。返済開始まで半年間の猶予があり、無利子で借りられ高校・大学等に入学した場合は返済が免除されます。

各区市町村の窓口で相談すると利用対象者か確認できますので相談してみましょう。ただし、条件を満たしていても審査に通らないケースもあります。

私立小・中学校の学費が足りない時の対処法

公立の小・中学校ならば学費はそれほどかかりませんが、私立に進学すると公立の何倍もの学費がかかります。学費の支払いが厳しい時の対処法をご紹介します。

私立小中学校等修学支援実証事業費補助金を利用する

都内の私立小・中学校に通う子をもつ世帯の授業料を実質減額する事業で、都内在住でなくても都内の学校に通っていれば利用できます

対象者都内の私立小学校、中学校、特別支援学校小学部、特別支援学校中学部
所得制限年収約400万円未満の世帯
学業条件なし
返済の必要なし
支援金額10万円(在学校の授業料が上限)
申請時期8月~各学校が定める期間まで
支給開始時期2月以降
申込方法在学している学校へ申し込み
使用用途

授業料

※原則学校設置者が受け取り、授業料が減額される

平成29年度から期間限定で始まった実証事業で、授業料を負担に感じる家庭に対して学費を支援するとともに、義務教育において私立学校を選択している理由や家庭の経済状況などの実態を把握する調査を実施しています。そのため、利用者は文部科学省の調査に協力する必要があります。

利用条件を満たしていても審査に通らないケースもありますが、条件に当てはまる方は申請期間内に忘れずに申し込みましょう。

公立に転校する

もし私立小・中学校に通い続けるためにローンを組んだり無理をして仕事を増やしたりしているようでしたら、近所の公立高校に転校する方法もあります。

公立ならば学用品や習い事にかかる費用のみの負担で済みますし、遠方まで通学していた場合は交通費も節約できます。

転校に抵抗を感じるかもしれませんが、小・中学生の間は大学進学に向けた費用を貯蓄する時期と割り切って今は公立に通うことも検討してみてください。

民間の教育ローンやカードローンは最後の選択肢に

教育費が不足すると民間の教育ローンやカードローン利用を検討する家庭も多いでしょう。

教育ローンは親名義でローンを組み返済するローンで、銀行や信用金庫・労働金庫やJAなど多くの金融機関で取り扱っています。教育費目的で借りるためカードローンなど使途自由なローンよりも低金利で借入可能で、いつでも申し込みできます。

また、多くの支援制度は利用できる家庭の所得に制限があり比較的高収入の家庭は利用できませんが、民間の教育ローンは通常上限所得は定められていません。

しかし、すでに通学中で残り僅かな期間の学費が不足した場合などを除き、始めから教育ローンをあてにして進学することはおすすめできません

民間の教育ローンをおすすめしない理由

教育ローンの利用を最後の選択肢とする理由は次の2点です。

公的制度と比較すると高金利だから

学費不足04

おもな金融機関で取り扱っている教育ローンの金利は次の通りです。

教育ローン名金利借入可能額使いみち
三井住友銀行 教育ローン(無担保)年 3.475%300万円学校、塾、予備校等に納付する教育関連資金およびそれらの借り換え資金
三菱UFJ銀行 ネットDE教育ローン年3.975%500万円学校に納付する学費・入学金・授業料・寄付金等
東京信用金庫 教育ローン年2.98%1,000万円幼稚園、小学校、中学校、高等学校、高専、専修学校、各種学校、短大、大学、大学院等教育施設に入学・在学にかかる費用
中央労働金庫 教育ローン(カード型)年2.900%~3.180%1,000万円

在学する各種教育施設への納付金や、入学または在学するために必要な教育関連資金等

※個人の趣味に属する施設および家庭教師・個人授業・少人数の塾等は除く

国の教育ローンの利息1.70%に対して民間のローンは利息負担が大きくなってしまいます。

たとえば200万円借りた場合、三井住友銀行教育ローンは国の教育ローンよりも約20万円利息負担が大きくなります。

学費払えない05

奨学金と比較するとさらに差は開きますので、まずは給付型の公的支援が利用できないか検討してから奨学金や国の教育ローン、最後に民間の教育ローンを検討しましょう。

老後に向けて返済負担が大きいから

子供が高校・大学に通っている時期は学費負担が大きい時期であるとともに老後資金を貯める重要な時期でもあります。民間の教育ローンは利息負担が大きいため、通常子供の卒業後まで返済が続く教育ローンを組むと老後資金を貯めるどころか返済に追われる事態にもなり兼ねません

収入を増やす方法を考えたり子供の進路そのものを見直したりした方が老後への不安は残りませんので、安易に民間の教育ローンを利用せずによく検討してから申し込みましょう。

やむを得ず利用する際は、子供にも経済状況を伝えアルバイト収入を家にも入れてもらうなど親子で協力して返済することをおすすめします。

緊急時のみカードローンの利用もおすすめ

奨学金や教育ローンは申請してから支給されるまでに時間がかかります。その間に急な出費があって一時的にお金が足りない場合はカードローンを検討しましょう。

大手消費者金融ならば即日、銀行カードローンでも数日以内に借りられるケースが多いため予期せぬ出費で困った際に大変便利です。

ただし、カードローンの金利は14.0%~18.0%程度と民間の教育ローンよりもさらに上がりますので、公的制度の給付や貸与で返済できるあてがある時など短期間・少額の利用に限って検討してください

返済が長期間かかりそうな場合は、使いみちは限定されますがカードローンよりも金利の低い教育ローンやフリーローンを利用したほうが負担は少なくなります。

祖父母からの援助は贈与税非課税で受けられる

学費や学用品の購入費が不足する場合、祖父母から援助を受ける方法もあります。

年間110万円までの贈与では贈与税はかかりませんが、教育費目的で必要になる都度贈与を受けるケースでは110万円を超えても贈与税はかかりません

ただし、必要になる都度の贈与は非課税ですが、たとえば子供が小学生のうちに将来の大学進学費用としてまとまった額の援助を受け取ると贈与税の対象となってしまいます。そのような時は教育資金贈与非課税制度と呼ばれる期間限定の特例を利用すると、一括贈与でも孫1人につき1,500万円まで非課税になります。

贈与税を支払わなくても良い便利な制度ですが、次の2点に注意しましょう。

教育資金贈与非課税制度の注意点

  • 教育費の領収書を銀行に提出しなければいけない
  • 30歳になるまでに教育資金を使い切らなければ、残った額に贈与税が発生する

教育費として使用した証に毎回領収書を提出するのはかなり手間がかかりますので、非課税で受け取りたい場合は必要な都度受け取ることをおすすめします。

学費はできる限り早いうちから準備するのがおすすめ

学費・教育費が足りない時の対策をご紹介しました。

学費はできる限り早いうちから少しずつ準備しておくのがベストですが、災害や病気など家計の急変で思うように貯蓄できないケースも多くあります。

学費が不足しそうなときはまずは生活費の節約で捻出したり学校に分納・延納を申し出たりする方法をおすすめします。それでも足りない時は奨学金や教育ローン以外にも利用できる公的制度はたくさんあります。世帯収入や学力などそれぞれ条件が異なりますので、よく比較してご自身に合った制度に申し込みましょう。

また、奨学金を借りる場合は、借金を背負うのは子供ですので親子でよく話し合ってから利用してください。